春菊楽曲大賞2015


さてさて、今年もやって参りました春菊楽曲大賞!
J-popを中心に都内でDJ活動をしております私、DJ春菊が今年も下記4部門にて「春菊楽曲大賞」として選出し、特に良かった作品に解説を記載致しました。

・J-pop部門
・PV部門
・アイドル部門
ハロプロ部門

 

<J-pop部門>

Obscure Ride / cero

Obscure Ride 【通常盤】

 

現代シティポップの旗手であるceroの三年ぶりのアルバム。壮大な前作・前々作に比べて、音数を抜き内省的で無駄のないバンドサウンドでまとめて来た今作だが、シティながらも物語的でコンセプチュアルなceroの世界観は健在。


はっぴいえんどのフォロワーを起点とした従来のシティポップは『都市性(現実)』の中に『都市の虚構性(都市への憧れや見栄のようなもの)』を包含した音楽であったが、cero高城氏は前作MyLostCity「わたしのすがた」の中で

シティポップが鳴らすその空虚、フィクションの在り方を変えてもいいだろ / わたしのすがた(2013年)

と従来のシティポップからの脱却を宣言。


ceroは今作でシティポップの『都市の虚構性』の意味を『物語』として押し広げると共に『都市性』の中から脱却させ、『現実の都市』と『虚構の都市』の物語として1枚のアルバムの中での表現を試みているのではないでしょうか。ceroが新しく作り直したシティポップの概念『現実』と『フィクション』。アルバム内でこの二つの世界を自由に行き来する乗り物こそがアルバムタイトルの「Obscure Ride(曖昧な乗り物)」なのである。


D'Angelo「Black Messiah」(2014年)の影響を指摘されることが多いように、ブラックミュージックの影響を色濃く残しながらも日本人的な感性で上質なポップスとして昇華している。。。。


……とかだらだら考察してますが、2015年の夏は何も考えずこのアルバムを頭から流しておけば間違いなかった!こういう思想的でストーリーのあるアルバムってアーティスト側の自己完結型で、狂信的なファンしか絶賛しないことが多いけど、しっかりとした音楽にナチュラルに落とし込めてるのがceroの本当にすごいところ。
ライブも今年4回程見に行ったけども「Obscure Ride」発売ちょっと前辺りからライブでの音の趣向性がガラッと変わって来た気がする。

 

 

Awesome City Tracks / Awesome City Club

Awesome City Tracks

 

2015年のシティポップを語る上で欠かせないもう一つのバンドがAwesom City Club。「架空の街Awesome Cityのサウンドトラック」というコンセプトのバンドで、2015年だけで2枚のミニアルバムをリリースしています。

 

詳しくはAwesom City Club主宰のマツザカタクミ氏のインタビューを読んで頂きたいのですが、インタビューを読む限り、マツザカタクミ氏はかなりキレ者で、音楽性・コンセプト・メンバー(女子メンバーのビジュアル含)・プロモーション全てが意図的で、バンドとして売れるためのクリティカルパスをなぞる戦略を実践しているようにおもえます。(THIS IS PANICでシコを踏んでいた人とは思えない…。)


先程言及した高城氏の思想と体験、そしてコンセプトを中心とした"聞き手を意識しない"内省的なceroに対して、"聞き手を意識"してバンドとして現代の商業的な音楽シーンに絶妙なバランスでアプローチをかけているAwesomeCityClub。両極に存在しているバンドながらも、それぞれ『虚構の都市』『架空の街』という従来のシティポップとは違う『虚構性』『都市性』を持っているところが非常に興味く、どちらも現代のシティポップの在り方を如実に体現しているバンドなのだと思います。


話は変わりますがAwesome City Clubの女性メンバー二人にひたすら罵られるDVDがあったら絶対に欲しい。PORIN女史に冷たい目で蹴られたい。口内炎を触られたい。


Blue Avenue / 花澤香菜

Blue Avenue


ピチカート・ファイヴ野宮真貴Cymbals土岐麻子SPANK HAPPYの岩澤瞳、CAPSULEこしじまとしこROUND TABLEのNinoなど、音楽プロデューサーがグループの象徴として実力・カリスマ・ビジュアルの三点を兼ね備えた、傀儡的・象徴的な女性シンガーを置くことは渋谷系を中心に過去にもよく見られてきました。


もちろん、花澤香菜さんは声優として絶大な人気を誇っていますが、2012年にデビューした“歌手としての花澤香菜”というプロジェクトは、ROUND TABLE北川勝利を中心にCymbals沖井礼二・矢野博康NONA REEVES西寺郷太奥田健介中塚武などを作詞作曲または編曲者に迎えており、誤解を恐れずに言うと実態として過去の渋谷系のように花澤香菜さんを「象徴」としている状態にあります。「象徴」そのものであるアニメキャラクターの裏に居たはずの声優さん自体が「象徴」として君臨してるのはなんとも2015年っぽいなぁと。今年ヤフオクの「ぜーんぶ入札!」でドカンと売れた水曜日のカンパネラのコムアイ氏もかなり象徴的存在ですよね。ツィッギーはフューチャーベースJpop!(さらに言うとツィッギーといえばやっぱりピチカートを思い出すよねー。)

私が毎年言っている「今年はフュージョンが流行る!」を体現してくれたのはCymbals矢野博康編曲「We Are So in Love!」。最高!


話は逸れますが、夢みるアドレセンス「くらっちゅサマー」(2015年)、Negicco「トリプル!WONDERLAND」(2014年)など、最近の矢野博康が手掛けるBPM早めの曲はリズム隊のグルーブの嵐にドンシャリ音圧バッキバキで最高です。

 

 

華麗なる逆襲 / SMAP

華麗なる逆襲/ユーモアしちゃうよ(通常盤)

(ジャニーズなので画像は貼れません)


実は今年リリースシングル曲に当たりが多かったSMAP。「華麗なる逆襲」は作詞作曲椎名林檎。そしてtofubeatsのリミックスが収録!このリミックスがほんといいんだ。

 

ちなみに今年リリースしたもう一枚のシングル「愛を止めないで」はゲスの極み乙女/Indigo la End川谷絵音が作詞作曲。両A面の「Otherside」は作詞LEO今井、作曲MIYAVI。どちらも編曲はハロプロ編曲でお馴染み鈴木Daichi秀行
「愛を止めないで」の発売は2015年9月9日。SMAPのデビューシングル「Can't Stop!!-LOVING-」の発売は1991年9月9日。
6人SMAP時代は日付がゾロ目の日のリリースに拘ってたんですが、森くん脱退でその慣習も無くなり、以来初のゾロ目リリースらしいです。

 


長く短い祭 / 椎名林檎  

長く短い祭

な、なんだこの衣装は!!!!

 

この曲で編曲とトロンボーンを担当しているのは村田陽一氏。先程紹介しましたSMAPの「華麗なる逆襲」の編曲もこの人。ジャズ畑の方ですがなんと元JAGATARAのメンバーで、南佳孝のプロデューサーをやっていたりピチカート・ファイヴORIGINAL LOVEなどの編曲に参加しています。また、こちらも先程紹介致しました花澤香菜さんBlue Avenueの一曲目「IハートNew Day!」も村田氏の編曲。「IハートNew Day!」のイントロがORIGINAL LOVEの名曲「朝日のあたる道 AS TIME GOES BY」(1994年)のオマージュでそっくりなのですが、調べてみたらびっくり。「朝日のあたる道」に村田陽一氏がトロンボーンで参加していました。。。北川勝利にしてやられた感。こういう発見があるから編曲家ディグは楽しい。


さてさて東京事変解散以降、曲提供が多くなってきた椎名林檎。某夏フェスやMステで37歳とは思えないドスケベな衣装でまさに「女盛り」な状態なのでまだまだ表に出ていて欲しい。

一寸女盛りを如何しやう この侭ぢや行き場がない 花盛り色盛り真盛りまだ / 長く短い祭

 

 

YELLOW DANCER / 星野源

YELLOW DANCER (通常盤)


サブカル女子のアイドルだった星野源がお茶の間のエンターテイナーに限りなく近づいたのが2015年。


今年はSAKEROCKの解散だったりSUNがドラマの主題歌で売れたり紅白出場だったりでドカンと話題になりましたが、このアルバムがまぁとんでもない名盤!!
アコースティック中心、しっとりとした歌の中にド変態さが時折見えていたデビューアルバム「ばかのうた」では星野源自身の『個』(=I)を中心とした歌を歌っていましたが、2012~2013年の病気療養を乗り越え

地獄の底から次の僕が這い上がるぜ / 化物(2013年)

と復活。星野源は『個』を包括した『衆』(=We)を歌い始めました。

君の声をきかせてよ / SUN(2015年)

こういう変化が普通のアーティストにあると「昔の方がよかった!」とかいう人が出てくるんですが、星野源に関しては否定的な意見はあまりみられず、「昔も今も良い!好き!」という人が多い気がするのは気のせいじゃないはず。

 

今回のアルバムを通して描かれる『別れ』のモチーフ(SAKEROCKのラストアルバムも「SAYONARA」だったな)。そして

時よ 僕らを乗せて 続いてく 意味もなく / 時よ

などに見られる厭世観。意識して『衆』の歌を歌っていても星野源は無意識に『個』に執着しており、今回のアルバムでも時折見せる厭世的な視点をチラっと見せるのが非常に憎い。だから昔からのファンも否定的になれないのかも。


こんな男がモテないはずがない!あー源くん好きだー!頼む!抱いてくれ!!!!

 

 

The Show / Lucky Tapes

THE SHOW


今年インディーバンド周辺で大躍進したのは新宿MARZ発DJパーティ「NewAction!」界隈なのではないでしょうか。「NewAction!」は今年Lucky Tapes、Homecomings、Yogee New Waves、CICADA、give me wallets、Lucky Kilimanjaro、パブリック娘。、DALLJUB STEP CLUB等々。クラブミュージック的なアプローチ、且つ音だけでもちゃんと踊れるバンドを中心に招集し、コンピレーションアルバムをリリース。ジャケットは永井博の描き下ろし。
その中でもLucky Tapesは来年あたりデカい夏フェスにサラッと出ちゃいそう。

 


イソギンチャクノ上デ踊レ! / 溺れたエビの検死報告書

イソギンチャクノ上デ踊レ!


自分が2015年見たすべてのバンド・DJ・その他パフォーマンスの中で最も良かったと思えるのは溺れたエビの検死報告書でした。
全員がエビの被り物をしているビジュアルからどうしても色物に見えてしまいますが、このバンドは音楽・ビジュアル・コンセプト全て含めて総合アート。プログレ感もありつつとにかく踊れる。メンバーは全員ナンバリングされて番号で呼ばれてるので詳しくは知らないんだけど実は関西アングラ界隈の方々が複数いるっぽい。。。2016年はエビが流行る!!!!

 


スカムレフトスカムライト / 左右

スカムレフト スカムライト


久々にこういうバンドが出てきてくれて俺は嬉しい!!!!編成はギターとベースの2人。べースの人は座って足でバスドラとシンバルを鳴らしてたりギターの人がカズー吹いてたり。たま、嘘つきバービー、385、つしまみれ、空きっ腹に酒あたりが好きな人は是非聴いて頂きたい。

 

解説は省きますが以下も必聴。


Let's Dance! / ONIGAWARA

エビバディOK?

エビバディOK?

 

 

Music / Polaris

MUSIC

MUSIC

 

 

The Limelight / monolog+Ai Ichikawa

THE LIMELIGHT

THE LIMELIGHT

 

 

SAYONARA / SAKEROCK

SAYONARA

SAYONARA

 

 

New Rythm / シンリズム

NEW RHYTHM

NEW RHYTHM

 

 

ジャスタジスイ / DJみそしるとMCごはん

ジャスタジスイ

ジャスタジスイ

 

 

梔子 / KOHH

梔子

梔子

 

 

サマータイムラブ / Shiggy Jr.

サマータイムラブ(初回限定盤)(DVD付)

サマータイムラブ(初回限定盤)(DVD付)

 

 

Butter Sugar Cream / Tomggg 

Butter Sugar Cream【通常盤】

Butter Sugar Cream【通常盤】

 

 


パラード / ザ・なつやすみバンド

パラード

パラード

 

 

めまい / ミツメ

めまい

めまい

 

 

今夜はブギウギナイト2015 / 禁断の多数決

今夜はブギウギナイト2015EP

今夜はブギウギナイト2015EP

 

 

 

 

<PV部門>

お嫁においでよ2015 / 加山雄三 feat.PUNPEE


お嫁においで 2015 / 加山雄三 feat. PUNPEE


誰がこの組み合わせを思いついただろうか。加山雄三をビートジャック!PVには加山雄三本人も出演!「5lackに相談してみようかでも冷やかされそうだ辞めとこ」っていう引用に痺れた。

 

ぼくのりりっくのぼうよみ / sub/objective


ぼくのりりっくのぼうよみ - 「sub/objective」ミュージックビデオ

また17歳ですげーの出てきたよね。監督はA4Aの東市さん。エライザ!エライザ!!!

 

SUSHI食べたい feat.ソイソース / ORANGE RANGE 


ORANGE RANGE - SUSHI食べたい feat. ソイソース

目で吸うタイプの麻薬ことAC部製作。

 

しゃもじ / スライディングが普通の歩き方


スライディングが普通の歩き方 「しゃもじ」 PV


バックバンドを従えた2MC!リリースは2013年ですが何故かこのタイミングでPVリリース。しゃもじに生活を!しゃもじに自由を!

 

 

Seven Bridge / in the blue shit 


in the blue shirt - seven bridge

ディスコ!ディスコ!ディスコ!ディスコ!

 

 

春菊楽曲大賞2014

春菊楽曲大賞2013