最近のこと(2016/8/1~)
8月上半期の事です。
8/1
・森達也監督『FAKE』
映画の日ですね。友人はこぞってシンゴジラを見に行ってましたが私は渋谷ユーロスペースにて『FAKE』。
ドキュメンタリー映画監督森達也が、ゴーストライター騒動で一躍時の人となった佐村河内守氏を追った作品。
ドキュメンタリーではあるのだが、ゴシップニュースでしか見ていなかった佐村河内の生活・日常垣間見せてから(フォトジェニックな猫を挟みつつ)じりじり佐村河内を追い込んでいく展開が非常に映画的で全く飽きさせない。
「衝撃のラスト12分」が衝撃かどうかは置いておいて、ラストショットは映画として本当に完璧。完全にドキュメンタリーの枠を超えてしまっていた。ネタバレになるので詳しく語れないのが口惜しい。森監督の「A」「A2」も見なければ。
8/2
・岡崎体育÷JINRO『割る!』
岡崎体育÷JINRO『割る!』
岡崎体育すごいぞ!!!!「MUSIC VIDEO」でどかんと注目されてから初めてのタイアップ書き下ろしCMソング。曲を聴いたりTwitterを見る限り、岡崎体育は策略的に捻くれたキャラクターを演出しているかと思うんだけど、こういうキャラクターでタイアップ曲を書いてガッツリ大衆に寄せているのはものすごくグッとくる。(しかもめちゃくちゃポップで良い曲!)
サビで「回る」「加わる」「割る」「座る」「ちょいワル」「終わる」とリズミカルな韻を踏んでくるのが気持ちいい。岡崎体育のユーモアと大衆性が存分に表れている曲なのではないかと。
…やっぱりDJありがとうさんに似てるなぁ。。。
8/4
・笹塚「マルシンスパ」
このブログに意義があるとすれば「音楽」「映画」「サウナ」の3つである。
二週間近くサウナに行けておらず、仕事中うとうとしていたら目の前にサウナの光景が広がるというサウナー特有の禁断症状がでてしまったので、セルフロウリュができると噂のサウナ、笹塚「マルシンスパ」へ。
仕事が早く終わったのでロウリュサービスの時間に間に合う。日本のサウナは低湿のドライサウナが多いので100℃近くても耐えられるけど水蒸気は熱伝導率が高いのでロウリュの高湿は90℃でも恐ろしい暑さ。熱波師の方が仰ぐ度にとんでもない量の汗が噴き出る。
自分がずっとホームにしている銭湯のサウナは80~85℃の低温中湿(所謂コンフォートサウナ)なので10分近く耐えられるが、がっつりロウリュすると6分耐えるのが精いっぱい。ロウリュサービスの後にはセルフロウリュ童貞喪失。柄杓でストーブにじゅわー。た、たのしい…(めっちゃ暑い)。
マルシンスパは外気浴できるスペース(しかも世田谷区を一望できるナイスロケーション)もちゃんと有るので良い感じにととのうことができそう。
サウナーの端くれとして近所にこんな楽園があるのを知らなかったのは恥ずかしい。このサウナを教えて頂いたミックスエンジニアの照内さんに感謝。
今度はヴィヒタ^1体験をしたいので鶯谷のサウナセンター大泉に行かなければ。
8/6
1日空けてまた銭湯に行ってしまい、せい家からの自宅で映画。
・園子温監督『愛のむきだし』
「男子三日会わざれば刮目して見よ」という格言があるけども、映画だったり小説だったりを定期的に(例えば一年に一回とか)見直す事で、以前自分のその作品から感じたものや思ったこと、今回感じ取ったものの違いを確認することができ、現在の自分の考え方の変化や精神状態について確認する儀式になると思っています。 「映画で何が一番好き?」という質問は非常にナンセンスかもしれないけどもなんだかんだでこの映画が一番好き。
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8/7
・Tokyo Idol Festival 2016 3日目
お台場になってから毎年全日無銭参加してたのですが、今年はゆったりと最終日のみ。
いつもの通りスマイルガーデンにブルーシート広げて酒飲んでた上に無銭に厳しいステージ配置になっていたので、ほとんどの時間を寝転がって音漏れを聴いてたんだけど、目当ては何と言ってもレペゼン新潟、RYUTist。奇をてらわないストレートなアイドルソングでここまでクオリティの高い楽曲をリリースし続けられるアイドルを私は他に知らない。
元々好きってのもあるんだけど、エンターテインメントとして一番楽しめたのはlyrical schoolかなぁ。A面曲をショートミックスでガンガン繋いでスマイルガーデンにガッツリ合わせて来てた。最後にtengal6時代のアンセム「Photograph」をやったのは泣けた。
欅坂46はお客さんが多すぎてステージは一目もみれなかったけど、お台場で長濱ねるさんと同じ空気を吸っているという事実と、野外&デカい音でサイレントマジョリティー、世界には愛しかない^2を聴けただけで満足。
最近Youtubeでちょちょいとディグるだけで、自ら積極的に地下アイドルを掘ったりしなくなってしまったのでTIFに会った友人におすすめを色々聞いていたのですが、帰宅後聴いてかなりハマったのはフィロソフィーのダンス。
フィロソフィーのダンス 「すききらい_アンチノミー」(Live Version)
こんなの楽曲派歓喜じゃないですか!一十三十一っぽい歌い方の子が一人いるの気になるなぁ。事務所どこだろうと思ったら加茂啓太郎氏案件なんですね。
8/8
・Juice=Juice 「KEEP ON 上昇志向!!」
Juice=Juice 「KEEP ON 上昇志向!!」 スタジオライブ
ヒャダイン作詞作曲ダンスマン編曲!!ヒャダインがどこまで意識していたかわからないけどダンスマンの編曲ががっつりマイケルに寄せて来て最高!!!待ち望んだファンキーなJuice=Juiceが帰って来たぞ!!!
8/9
・スピッツ『醒めない』
・サニーデイ・サービス『DANCE TO YOU』
草野マサムネと曽我部恵一という日本のポップスメーカーが2016年夏のほぼ同じ時期ににとんでもねー名盤を出してしまってクラクラしてます。
サニーデイの新譜の凄さに関しては音楽ライター柴那典さんのこの記事に詳らかであるので多くを語ることは避けます。
私からはスピッツの新作から表題曲「醒めない」をコメントを挟みつつ引用してみましょう。
覚えていてくれたのかい? 嬉しくて上ばっか見ちゃうよ
やけに単純だけど 繊細な生き物
昼の光を避けて ブサイクな俺の歴史上
ギターはアンドロジナス 氷を溶かしてく
音楽の教科書に載るほどのポップスを連発していたスピッツが一言目に「覚えていてくれたのかい?」というのはいささか謙遜しすぎのような気もするが、たしかにスピッツといえば「チェリー」「ロビンソン」「空も飛べるはず」などの15年ほど前の曲がパッと頭に浮かんでしまう。(「正夢」「魔法のコトバ」でさえも10年近く前の曲だ。)
「昼の光を避けて」というのはシーンの表部分(TVなどの活動)を避けていた事を指しているのであろうし、「ギターはアンドロジナス(「男女両性の特徴をもつ」という意味)」はスピッツがこれまで積み上げてきた「ポップ」と「ロック」の二面性を表現しているのだろう。
まだまだ醒めない アタマん中で ロック大陸の物語が
最初ガーンとなったあのメモリーに 今も温められている
さらに育てるつもり
言っていることは神聖かまってちゃん「ロックンロールは鳴り止まない」と同じではないか!しかしマサムネフィルターを通すと「ロック大陸」と「六大陸」をかけたポップス的なユーモアも挟みつつ、この物語/メモリーを「さらに育てるつもり」と続いているのがニクい。
2番の歌詞は以下の通りだ。
カリスマの服真似た 忘れてしまいたい青い日々
でもね 復活しようぜ 恥じらい燃やしてく任せろ 醒めないままで 君に
切なくて 楽しい時を
あげたい もっと膜の外へ
なんか未知の色 探して
さらに 解き明かすつもり
― スピッツ「醒めない」
すごい。すごいぞマサムネ!ポップだ!これはポップスの王者が唯一書くことを許された歌詞である。
この一曲だけ取り上げても自身の歴史・文脈を全て回収してしまっているし、これからもスピッツが存在し続ける意思の表れでもある。
『醒めない』『DANCE TO YOU』はどちらもポップで爽やかで「良いアルバムだね」と一言で片づける事ができるかもしれないが、この2枚には大きな違いがあるように思える。
スピッツ『醒めない』は制作面でCzecho No Republicのタカハシマイ氏^3、スカートの澤部さんなどをサポートに付けつつ、音楽的には従来のファンとの結びつきを確認している。このアルバムはメジャーとインディーとの、アーティストとファンとの"友好条約"を意味するのである。
対して、とにかく内省的/ストイックに楽曲を制作し続けた曽我部氏からすればサニーデイ・サービス『DANCE TO YOU』はメジャーポップロックシーンから、ダンスロックや横揺れシティポップの蔓延する現代インディーズ界へ叩きつけた挑戦状なのではないだろうか。『DANCE TO YOU』にはそう思わせてしまうような気迫・圧力がある。どちらも2016年JPOP史として重要な位置づけになる作品になりそう。
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8/10
・川本真琴 with ゴロニャンず/プールサイド物語
・川本真琴/ホラーすぎる彼女です
川本真琴/ホラーすぎる彼女です
今年話題になったはずの川本真琴。めっちゃ良い曲なのに再生回数少なくないですか!?随時公開されている謎の短編映画も全くバズってないのが残念。
一時期打ち込み楽曲に傾倒したこともあったけど、今作はアルバム『川本真琴』時代を思い出すガチャガチャギターをかき鳴らして高らかに歌い上げる川本真琴が帰って来たような2曲。
それにしても42歳のはずなのに尋常じゃなくお美しい…。
・METAFIVE - METALIVE TRAILER
METAFIVE - METALIVE TRAILER
高橋幸宏が小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井と共に結成したMETAFIVE。今年1月にアルバムを発売していたが今回youtubeに上がったのはライブDVD。語るまでもない錚々たる面々に、各々の要塞のような機材。
何かを伝えたくて音楽をやっているのではなく、ただ音楽がやりたい職人が集まった結果、とんでもないエネルギーと磁場が発生してしまっているように感じる。
8/11
14日までお盆休み。amazonでkindleの定額サービス「kindle unlimited」が始まっており、江口寿史の漫画もいくつか対象になっていたのでひたすら読む。
・江口寿史『すすめ!!パイレーツ』『ストップ!!ひばりくん!』
島本和彦『アオイホノオ』にて「江口寿史は最初にパロディーをメジャーの世界に持ち込んだ先駆者」という評価がされていたけども『すすめ!!パイレーツ』を読んでなるほど納得。現代だったらハイスコアガールみたいに怒られてるんじゃないかなぁというパロディオマージュの嵐。
『ストップ!!ひばりくん!』は既読だったけどやっぱりめちゃくちゃおもしろい!
中学時代に銀杏BOYZ『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』を狂ったように聞いていて、大学生の時にこのジャケの女の子(?)がひばりくんだと知った時の衝撃は忘れられない。
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8/12
・lyrical schoolワンマンライブ@代々木公園
野外!無銭!飲酒!リリスク!
推しのゆみずがお休み中なのであまり熱くなれなかったけどもHIMEちゃんめちゃくちゃかわいくないですか…。サマーパーティチューンの多いリリスクさんなのでこの季節にこのロケーションは間違いない。
8/13
実家に帰省したがやる事も無くひたすらkindleで読書。
・宇野維正著『1998年の宇多田ヒカル』 (新潮新書)
・佐々木敦著『ニッポンの音楽』(講談社現代新書)
今年初め発売していた「1998年の宇多田ヒカル」がkinde化していたので購入。CDが最も売れた年、1998年にデビューした宇多田ヒカル、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみの4人の存在について紐解いていく一冊。
本書で問題提起されていた「渋谷系過大評価問題」が非常に興味深く、そういえば佐々木敦氏も近からず遠からずの事を言っていたなぁと思いだし、『ニッポンの音楽』を再読。佐々木敦氏が本書で一貫して提議していたのははっぴいえんどからtofubeatsまで続く「リスナー型ミュージシャン」の存在。とくに渋谷系はその「リスナー型ミュージシャン」の音楽であるという論である。渋谷系はその性質からどうしても「語りたくなる」そして「語るべきである」ものなので、この2冊でも本論ではないが多分に取り上げられている。
2冊を併せて読むと椎名林檎の自作自演屋さんという名義、宇多田ヒカルの常軌を逸したセルフプロデュース力、Flipper's Guitarの各々のソロ活動、小室哲也の様々なグループ活動それぞれに共通した一本の筋が見えてくるので是非。
講談社kindleセールで講談社新書と講談社学術文庫を20冊程積んでしまったのでガンガン読まなければ。。。
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8/14
・House of Liquid@恵比寿LIQUIDROOM(KATA)
実家から帰ってきてすぐリキッドルームへ。
Maurice Fulton、MOODMAN、okadada、G.RINA、moriura、ライブに嫁入りランド他々(以上敬称略)という布陣。ベースでドカドカなパーティやJpopでワイワイなパーティも楽しいけどよく知らないハウスとかディスコが永遠に鳴っているイベントに行くと楽しいし勉強になる。久々に会ったokadadaさんがセクシーすぎて直視できませんでした…。
ロウリュの時間に間に合う事に気づいてしまったので途中離脱してマルシンスパへ。日曜の良い時間なのに人が少なく、お盆の最終日にゆったりととのう。
8月上半期はこんな感じ。僕からは以上!
【DJ春菊の予定】
8/30 PUREIBIZAvol.98@秋葉原MOGRA