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春菊楽曲大賞2016

 やって参りました春菊楽曲大賞!今年で4回目です。今回は例年やってきたアイドル部門・ハロプロ部門はJ-POPに吸収し、J-POP大賞一本で執り行いたいと思います。
 審査基準としてはアルバム・シングル・配信などのリリース形体にとらわれず選出。「この曲みんな知らないと思うけどいい曲だから聞いて!」というディグ自慢的な観点ではなく、はっぴいえんど以降流れるJ-POPの歴史の中で、2016年のJ-POPとして語るべき作品を20作品挙げています。また、作品ごとの順列は付けず、語るべき順番で今年を追って行きます。


<春菊楽曲大賞2016>

■受賞作品一覧

宇多田ヒカル『Fantome』

Fantôme

 2016年のJ-POPを語る上で宇多田ヒカルの新譜は避けて通ることはできないでしょう。本作はこれまでの海外志向なR&B的な要素というよりは日本語を意識的に多用したポップスに焦点を置いており、J-POPの歴史上これまで触れてこなかったテーマ(タブーとして触れることができなかったテーマ)を積極的に楽曲・歌詞で表現し、超上質な楽曲へと落とし込んでいるアルバムなのだ。
 「道」「花束を君に」は自死遺族の想い。「ともだち with 小袋成彬」は槇原敬之「彼女の恋人」を想起させる同性愛者の同性愛者ではない友達への恋。「二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎」は諸説ありますが素直に考えれば不倫。アルバムを通して描かれるのは「死」、そして引け目を感じて生きている人間の「生活」なのです。
 マジョリティに圧倒的な支持を受けた宇多田がマイノリティ側の人間をテーマに作品を作る事ができたのは、自ら選んだ6年間の「人間活動」を通して、宇多田が自身をマイノリティ側の人間であったという事に気づく事が出来たからに他ならないだろう。全世界に共通するテーマや思想の強いコンセプトがありつつ、日本人的な感性と大衆性を持ち合わせて極上のポップスへ昇華することに成功してしまった点がこのアルバムの最も賞賛すべき功績なのである。

 

星野源『恋』

恋 (通常盤)

 歌番組やドラマで良く見かけるのでもうそんなに経ったの?って感じですが、実は『SUN』以来1年半ぶりのシングル。Youtube等のバズは星野源の力ではなく、新垣結衣の功績だと個人的には思っているので、恋ダンスについては音楽的な観点からは語りませんが、この曲も2016年のキーとなる楽曲であり、「SUN」に続いてサブカル王子だった星野源がお茶の間での人気を確固たる物にした楽曲として無視できません。
 以前ブログで病気療養以降の星野源は「We=衆」の歌を歌っていると見せかけて、実は「I=個」に執着しているという記事を書きましたが、今回も最高にポップでキャッチーなラブソングの中に

意味なんかないさ ただ暮らしがあるだけ
 ― 星野源『恋』

と厭世感・無常観をしれっと差し込んでくる感じがやはり星野源。1stアルバム『ばかのうた』のような内省的な世界観と、ひねくれてるけどド直球のポップネスが同居しているのがこの人の本当にすごい所。
 ものすごい良質なポップスなのに裏で鳴っている二胡が絶妙なバランスでアジア感を醸し出している。細野晴臣トロピカル三部作(「トロピカル・ダンディー」「泰安洋行」「はらいそ」)をフェイバリットに挙げ、影響を受けたと公言する星野源ならではのサウンドなのではないかと。
 ポップに振り切れている今もとても好きなのですが、個人的にはB面でも良いので「ばらばら」みたいなアコースティックもそろそろ聞きたい所。


スピッツ『醒めない』

醒めない(通常盤)

 以前のブログにも書きましたが、ポップスの絶対王者"スピッツ"は顕在だという事を世に知らしめたのが本作。リード曲「醒めない」で歌われるのは2つの愛。まず一つ目は音楽に対する愛。

まだまだ醒めないアタマん中で ロック大陸の物語が
最初ガーンとなったあのメモリーに 今も温められてる
さらに育てるつもり
 ― スピッツ『醒めない』

 ちょっと話が逸れますが、同じように音楽へ目覚めた感動を歌っている神聖かまってちゃんと、スピッツ「醒めない」の間で、音楽に対する受容の仕方が異なる事が個人的に興味深い。

今も遠くで聞こえるあの時のあの曲がさ
遠くで近くですぐ傍で、叫んでいる
遠くで見てくれあの時の僕のまま
初めて気がついたあの時の衝撃を僕に
いつまでも、いつまでもくれよ
もっともっと、僕にくれよ
もっと、もっと、もっと、もっと、くれよ!
 ― 神聖かまってちゃん『ロックンロールは鳴り止まないっ』

 スピッツが「このメモリー(感動体験)を育てていくつもり」と内観し自己完結しているのに対し、神聖かまってちゃんは「くれよ!もっとくれよ!」と感動を渇望し、そのあとの歌詞で「だから僕は今すぐ、今すぐ、今すぐ叫ぶよ」と外側に発信していくという表現をしています。同じテーマだけども、音楽的なスタンスの違いが歌詞の中に見れるのはコンテキスト的にも面白いですねー。

 さてさて話を戻しまして、「醒めない」で歌われるもう一つの愛はファンに対する愛。その愛に答えるようにスピッツはポップスの王者として復活する事を宣言しています。

カリスマの服真似た 忘れてしまいたい青い日々
でもね 復活しようぜ 恥じらい燃やしてく
 ― スピッツ『醒めない』
 

これめちゃくちゃかっこよくないですか。J-POP黄金時代を牽引してきたスピッツにしか書けないリリック。

 また、別の曲を引用させて頂きたいのですが、今年リリースされた曲で同じファンに対する愛と復活の宣言をテーマとして用いた曲があります。そうです。今年見事に復活を遂げたHi-STANDARDです。

家に帰ってきたよ
オールドキッズはいい感じさ
キミがまた僕に戻ってくるとは思いもしなかったけど
生き返ったみたいさ
僕の目の前には真新しい日々
そうさ、キミはいつも僕の心の中にいたんだ 昨日までの事はおいていこう
もっとやるべきことがあるから
時はいつだって僕の味方なんだ
だから今キミのために歌うよ
キミも歌ってくれたらいいな
すべて大丈夫なんだ
僕たち大丈夫なんだ
これはもうひとつのスタートライン
 ― Hi-STANDARD『Another Starting Line』和訳

これもまたシーンの道を作ってきた(Making the road!)ハイスタにしか書けない歌詞。アーティストグループの解散・活動休止・復活が多かった2016年ですが、「ただいま」と言われたら笑って「おかえり」と言えるアーティストとファンの関係は大切。


サニーデイ・サービス『Dance To You』

DANCE TO YOU

 2016年、スピッツやハイスタが語った「従来のファンに向けての愛・感謝」とはかけ離れた、真逆の作品を作り上げたのがサニーデイ・サービス。制作期間2年という圧倒的な時間。没曲が50曲という曲圧倒的な熱量。更にメンバーの体調不良等により楽器のほとんどを曽我部恵一が務めたという本作。音楽ジャーナリストの柴那典氏はこのアルバムを「悪魔に憑かれた渾身ポップアルバム」と評したが非常に言い得て妙。
 アルバム名も「Dance for You」ではなく、『Dance To You』となっているのも恐らく意図的。受け手の"ために(for)“作ったアルバムではなく、曽我部恵一のアーティスト性から発せられる"Dance"を一方的にぶつけられているような感覚に陥る作品なのだ。部屋で一人このアルバムを聴いていると、静かだがダンサブルなビートの中に狂気じみた圧を受け続けていることに気づく。ある意味、曽我部恵一の独りよがりなアルバムではあるのだが、彼の根底にあるポップネスがそれを覆い隠しているのだろう。
 今年再発した「東京」のLP買いそびれてるんだけどまだ売ってるかなぁ。。。 


くるり琥珀色の街、上海蟹の朝』

琥珀色の街、上海蟹の朝(初回限定盤・CD+Bonus CD)

 多国籍なサウンドに日本的なメロディーが乗る、絶妙な違和感がじわじわと快感となるスルメアルバム『THE PIER』(2014年)から早2年。アルバムごとに音楽性が異なるで有名なくるりですが、実はアルバム作成に2年以上期間を空けたのは今回が初めてなんですよね。度重なるメンバーチェンジを重ねながら、岸田繁佐藤征史・ファンファンの3人で迎えたくるり20周年。今年はファンファンの出産と過去のアルバムの再現ツアー「NOW AND THEN」で忙しかったのもあると思いますが、現在のくるりの方向性を示すのはこのEP『琥珀色の街、上海蟹の朝』だけ。
 タイトル曲「琥珀色の街、上海蟹の朝」ではアダルトでシティなビートに岸田のぼそぼそとしているもののしっかりフロウのあるラップ。B面ではNHKみんなの歌でも流れた和風メロディーな童謡「かんがえがあるカンガルー」。前アルバムの意匠を童謡というフォーマットに落とし込みつつ、A面では従来とは全く異なるアプローチをかけている。「琥珀色の街、上海蟹の朝」のアプローチが、目下流行中のシティポップを意識した物なのか、全く別の方面からの物なのか。これに対する回答は次のアルバムで語られるのだろう。


ASIAN KUNG-FU GENERATION『ソルファ(2016)』

 2004年にリリースされた『ソルファ』の再レコーディング盤。我々1990年前後に生まれた世代の音楽好きで、このアルバムを通ってない人なんていないんじゃない?1stの君繋も最高な名盤なんだけど、情報収取に限界のある当時中高生は2ndの『ソルファ』からアジカンを聞き始めてるはず。(BUMP OF CHICKENユグドラシル』、ELLEGARDEN『Pepperoni Quattro』も2004年だし凄い時代だったなぁ。)
 さて再録ソルファですがこれが本当に素晴らしい。ソルファを聴いて育った皆様はもちろんですが、一度もちゃんとソルファを聴いた事の人にこそ聴いてほしい。「リライト」が間奏でダブっぽくなるのもドラッギーで良いんだけど、「Re:Re:」のアレンジが本当に最高ですね。オリジナルからすれば冗長的なイントロだけれども、曲を知っている我々からすると今か今かと歌いだしを待ってしまう。

君を待った 僕は待った
途切れない明日も過ぎて行って
僕は今日も掻きむしって
忘れない傷をつけているんだよ
君じゃないとさ
 ― ASIAN KUNG-FU GENERATION「Re:Re:」

 話は飛びますが、今年公開された映画『シン・ゴジラ』『君の名は』。どちらも大ヒットを記録していますが、どちらも2011年の震災を下敷きにした作品です。震災から5年経った事で、悲劇として/歴史として/文化として咀嚼された震災を「回顧」できるようになり、ようやくポップカルチャーに落とし込まれ、それがようやく大衆に受容されたの2016年なんですよね。
 スピッツが「醒めない」で歌っていたのも、ハイスタが復活したのも、くるりが過去アルバムの再現ツアー「NOW AND THEN」を巡業しているのも、アジカンが『ソルファ』を再発したのも全て「回顧」に集約されるのです。
 過去に立ち返り、自らの現在の立ち位置を確認する事はどの分野でも必要な事ではあると思います。先に挙げた映画もアーティストも、当事者自身の意向をしっかりと生かしながら、周囲を思いっきり巻き込んで大衆に許容されてるのはカルチャー的にも面白いし、2016年は「回顧」が許容された年と言っても過言ではないのではないかと。


銀杏BOYZトリビュートアルバム『きれいなひとりぼっちたち』

きれいなひとりぼっちたち

 銀杏BOYZ初のトリビュートアルバム。YUKIサンボマスター安藤裕子曽我部恵一など豪華なメンツが揃っているが、なんといっても麻生久美子に「夢で逢えたら」を歌わせるセンスにスタンディングオベーション。某カヴァーアルバムで小泉今日子ゆらゆら帝国の「空洞です」をカヴァーしていた以来の絶妙な人選。麻生久美子さんが私個人的に大好きな女優さんなのもあるんですが、制作側に「モテキのるみ子が銀杏BOYZ歌ってたら面白くないか」という含みがあったならば、まんまとしてやられたとしか言いようがない。


WANIMA『JUICE UP!』

JUICE UP!!

 昨年のアルバムリリースからものすごい勢いで日本各地のフェスに出演していったPIZZA OF DEATH所属、WANIMA。よくよく考えてみると、ドンズバなメロコア直系サウンドに日本語詞を乗せるのバンドって実はあんまり居ないんだよね。青春パンクのような暑苦しいけれど分かりやすいメッセージ。ボーカルから滲み出る「文化部なのに野球部とかサッカー部とかとめっちゃ仲良くて、声もデカいしちょっと敬遠してたけど話してみるとめっちゃいい奴」感。まさか2016年にこんなポジティブで暑苦しいバンドが売れるとは思わなかったなぁ。「THANX」「ともに」を聴いてメロコアの血が久々に騒いでしまっており、今一番ライブを見たいバンドかもしれない…。

涙こらえ笑って生きてる
崩れそうになりながら毎日びびってる
疲れ果てるまで繰り返す きっと ずっと
どれだけ過去が辛くて暗くても
昨日よりも不安な明日が増えても
悩んだり泣いたりする今日も
進め君らしく 心踊る方
 ― WANIMA「ともに」

 お笑いコンビ、ニューヨークのオールナイトニッポン0で行われている「WANIMAか!」というコーナーが面白いのでこちらも是非。

METAFIVE『META』

META

 高橋幸宏小山田圭吾砂原良徳TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井からなるユニット。それぞれの経歴を説明するのもバカらしい、ジャンプ漫画の最終回みたいな豪華なメンツ。「Don’t Move」は大胆なカットアップされたグルーブにLEO今井のボーカルが乗っかるテクノ仕掛けのファンク。「Luv U Tokio」には、YMOの「テクノポリス」の「TOKIO」がサンプリングされている。
 電子楽器と生楽器の絶妙なグルーブに文脈のあるユーモアから歴史を感じてしまうが、しっかりと「最新」にチューンナップされている。鳴っている音を頭で分解していくと5人全員が個々に主張したサウンドを出しているのだが、他のメンバーに対するリスペクトのせいか、全体を見渡すとしっかりとまとまったサウンドになっているのがやはり素晴らしい。
 

TWEEDEES『The Second Time Around』

The Second Time Around【初回盤(CD+DVD)】

 「シティポップ復古の大号令」の年、2015年にデビューしたex.Cymbalsの沖井礼二とex.3年B組で女優/シンガーソングライターの清浦夏実によるユニットTWEEDEESの新アルバム。
 一曲目から沖井先生やりすぎだろwと笑えてくるぐらい、ボトムの効いたディストーションサウンドのTHE沖井節ベース。アルバムの前半は「そうや!これが渋谷系や!!」と叫びたくなるようなCymbals直系のドンズバ渋谷系。後半になるにつれ渋谷系以外の音楽の要素がどんどん強い曲が多くなっていく構成。しかし決してAOR的なシティポップに寄せてきた訳でなく、沖井さんと清浦さんが今やりたいのはこれなんだろうなぁと思わせる楽曲。
 『The Second Time Around』は直訳で「2週目」。セカンドアルバムという意味はもちろんあるはずだけども、沖井さんがTWEEDEESでCymbalsをもう一度やり直そうとしているのかもしれないし、渋谷系という音楽ジャンル自体を再帰させようとしてるのかもしれない。
 余談ですが、今年TWEEDEESのライブを見に行った際、ex.OK?NO!!の上野翔と菅野君の紹介で、終演後に沖井さんと小一時間お話しさせて頂いたのが今年一番嬉しかった事件でした。。

Special Favorite Music『World’s Magic』

World's Magic

 メンバーが一人減ってから名乗って無いみたいだけど、「リトルピープルの時代に生まれて育った9人によるストリートのためのポップミュージック」というセルフキャッチコピーがまず最高。村上春樹の引用ならまだしも村上春樹を経由した宇野常寛氏の著作を引用するのは渋い。コンテキスト厨歓喜

リトル・ピープルの時代

リトル・ピープルの時代

 2014年から2015年にかけて、ceroSuchmos・AwesomeCityClubがしっかりと下地を作り、2015年中盤からはLucky Tapes、Lucky Kilimanjaro、CICADA等関東インディーシティポップ勢が進行。年初に予想していた通り、やはり2016年は関西シティポップ勢がガンガン出てきましたね。Homecomings、SATORI、oto factory、そしてSpecial Favorite Musicなどの関西シティポップは所謂ド直球のAOR・シティポップではないけれど、この時代の流れに上手く乗っかることができているように感じる。
 Special Favorite Musicは下北沢サウンドクルージングで初めてライブを拝見しましたが、下北沢ベースメントバーのステージに乗りきらない大所帯編成バンドに男女ツインボーカルから織りなされるマリアージュ。溢れるポップネス。多幸感の嵐。2016年ライブのベストアクトでした。


シャムキャッツマイガール

マイガール

 シャムとかミツメとか、文化系ガールにバチクソにモテてるイメージがあって悔しいんだけど、只の非モテの僻みであって、本当に良い曲書くんだよなぁこの人たち。

ふてくされてどうしたの
たまにするその顔
正直めんどう 暗い君の相手
いつもの可愛い顔しておくれ
言葉じゃなーんもダメさ
埒があかないくせに求められる僕の身にもなって
そばに来なよ マイガール
それがいいさ マイガール
 ― シャムキャッツマイガール

 何にも言わないけど何故か不機嫌な彼女。よくわからないから「そばに来なよ」と、とりあえず抱きしめてみる彼氏。解決には向かってないんだけどそれでまぁなんとかなってしまう。この情景は想像に容易いし、非常に2016年的。本音でぶつかり合う事を嫌い、めんどくさい事を避ける現代の若者っぽさと現代の男女関係をここまで絶妙に表現した曲を私は他に知りません。


フレンズ『Love,ya!』

Love,ya!

 ex.THEラブ人間のベーシストおかもとえみと、nicotenのベースひろせひろせがツインボーカル。その二人のベーシストを差し置いてベースを担当するのは昨年活動休止したthe telephonesの長島涼平。ギターは解散してしまったHOLIDAYS OF SEVENTEENのボーカルであった三浦太郎。ドラムはex.The Mirraz関口塁。
 このそれぞれバンドからこのメンバーが集まって、こんなポップでオシャレでシティなバンドになるなんて誰が想像できただろうか。それぞれベクトルは全く違うが、「ポップ」であるという圧倒的な共通項がフレンズの楽曲として落とし込まれているのは非常に面白い。「夜にダンス」「Diver」「ビビビ」など発表する曲全てに外れが無いフレンズ。そろそろフルアルバム出してくれないかなぁ。


思い出野郎Aチーム 『ミラーボールの神様』

ミラーボールの神様

 EMCを迎えた「ミラーボールの神様(smooth rap)」とasuka andoが歌い上げる「ミラーボールの神様(lovers rock)」も収録。文脈は全く違うから並列して語ることは難しいんだけども、EMCの緩い脱力系ラップはある意味スチャダラ然としており、そこに付けた副題がsmooth rap!そしてメロウでスウィートな歌声に定評のあるラヴァーズロック・レゲエシンガーasuka ando!この2組を呼ぶセンスと呼べるコネクションに脱帽せざるを得ない、今夜は最高!なEP。
 渋谷ライブハウスのサーキットフェス、シンクロニシティにて思い出野郎Aチームを初めて拝見させて頂きましたが、イベント終演後、下北沢で降りて自宅へ帰ろうとしたら北口のファミマ前で思い出野郎Aチームのメンバーさん全員が酒盛りしていて「この人たちは本当に信用できるな…。」と心から思いました。

続けてもいいから嘘は歌わないで
 ― 思い出野郎Aチーム「週末はソウルバンド」


ザ・なつやすみバンド『PHANTASIA』

PHANTASIA

 本作に関しては別途記事にまとめたのでこちらをどうぞ。あるルートで聞いたのですが、TNBのメンバーさんにもこの記事を読んで貰えたらしくとても光栄!

djsyngk.hatenablog.com


Enjoy Music Club『100%未来』

soundcloud.com

 フレンズ→思い出野郎Aチーム→なつやすみバンドという流れ、共通項にお気づきでしょうか。フレンズVo.おかもとえみが今年配信限定でリリースした『POOL』のトラックはEMCの江本さん、思い出野郎Aチーム 『ミラーボールの神様(smooth rap)』にEMCが参加、Enjoy Music Clubの昨年リリースしたアルバムに収録されている『ナイトランデブー feat.中川理沙(ザ・なつやすみバンド)』。2016年、インディー界隈でナイスなポップスを作っていたアーティストの裏には常にEnjoy Music Clubが居たのです!
 さて、今回紹介する『100%未来』。私が個人的に「今年のベスト楽曲は?」と聞かれたらこの曲を挙げるでしょう。DCPRG「mirror balls」を大胆に引用したイントロから始まるトラック。

君がいると朝が楽しい
君がいると昼が楽しい
君がいると夜が楽しい
君がいるとずっと楽しい

男女のラブソングと見せかけて、この曲で語られる「君」とは「ポップカルチャー」そのもの。つまり、ポップカルチャーに対するラブソングなのです。

10年ぶりにページめくり
思い出は全部「君との楽しい!!
君とのあのシーン、いまも楽しい!
けど、君がいないとやっぱ寂しい!!!

客演である劇団ロロの三浦直之氏のたどたどしいバースもエモーショナルに拍車をかける。

センキュー ポップカルチャー 全般
君も僕も いい歳さ
センキュー メモリースティック 満タン
なに聞いてる?なにみてる?

そして何と言っても最後のフックが最高。「センキュー ポップカルチャー 全般」は完全に今年一番のパンチライン。CDや漫画の貸し借りする事が消え去った訳ではないけども、近年はデータだったりURLでやりとりする事が増えました。単なるデータのやりとりだと温かみがないけども、「メモリースティック満タン」という容量のあるフィジカルに落とし込むことで絶妙な愛情とノスタルジーを感じてしまう、そんな2016年のポップカルチャー賛歌。
 音楽ストリーミング時代にサウンドクラウドで公開、mp3でフリーダウンロードという手段を選んだのがまた憎い。ダウンロードしてipodに落とす手間でさえも愛おしい。
 来年もエンジョイミュージックでお願いします!!

モーニング娘`16『泡沫サタデーナイト!』

泡沫サタデーナイト! /The Vision/Tokyoという片隅(初回生産限定盤A)(DVD付)

 今年のハロは個人的にグッとくる曲が非常に少なかったんだけども、ハロプロ特有のファンク楽曲(通称:赤羽橋ファンク)についてはJuice=Juice「KEEP ON 上昇志向!!」、こぶしファクトリー「チョット愚直に!猪突猛進」など、つんくの意思・意匠をくみ取った良作が多かったように感じています。その中でもモーニング娘`16「泡沫サタデーナイト!」は「LOVEマシーン」の再来とも言える日本人応援最高ディスコチューン。

日本の未来は(Wow Wow Wow Wow)
世界がうらやむ(Yeah Yeah Yeah Yeah)
恋をしようじゃないか! (Wow Wow Wow Wow)
Dance! Dancin'all of the night
 ― モーニング娘。LOVEマシーン

引用するまでもなく、誰しもが歌えるLOVEマシーン

サタデーナイト!
日々のあれこれ 思い切って後回して
踊りたい!
誰も彼もが日本の主役だ
サタデーナイト!
恋は泡沫 もうどうせなら振り回して
止まらない!
本来の心がうずいてる
Do it dance!
 ― モーニング娘`16「泡沫サタデーナイト!」

 2曲のサビを引用してみたが、これだけでも「日本」「恋」「dance!」「ナイト」など、キモとなるワードをしっかり引用しているのがわかるだろう。
 作詞作曲は赤い公園津野米咲SMAP「Joy!!」を作詞作曲した時から彼女が外仕事で作る曲のポップネスに注目していたのですが、そもそも津野米咲氏は生粋のハロオタ。LOVEマシーンの世界観というか、曲の意図を現代に焼き直したものが泡沫サタデーナイトと言っても過言ではないはず。


欅坂46サイレントマジョリティー』

サイレントマジョリティー(TYPE-A)(DVD付)

 AKB48の「制服が邪魔をする」、乃木坂46の「制服のマネキン」のようなシリアスな楽曲は2ndシングル以降にリリースするのが定石かと思っていたのだけども、このラインをデビューシングルで出して来たのはめちゃくちゃに攻めてるし大正解。
 センターの平手友梨奈は今っぽい顔立ちなのに山口百恵中森明菜のような昭和歌謡アイドルの雰囲気を併せ持っていて、更にセカイ系の主人公のような闇っぽさも感じる15歳。末恐ろしい。

渋谷の南口で撮ったPVも最高なんだけど、いとうあさこがセンターを張ってる動画もゲラゲラ笑えるので是非。


Little Glee Monster『私らしく生きてみたい』

私らしく生きてみたい

曲が始まった瞬間「イイキョク!」と指を指して叫びたくなるようなナイスなピアノのイントロ。作詞はex.SUPERCARいしわたり淳治、作曲は亀田誠治ソニー損保のCMあたりからよく見るようになった気がするリトグリ。このジャケだとどの子かわからないけど黒いボブの子、歌がうますぎて最早黒人。

乙女フラペチーノ『私ほとんどスカイフィッシュ

私ほとんどスカイフィッシュ/乙女の炎上 「乙女と矢」盤 (DVD 付)

 健全なる男性諸君なら誰しもお世話になっているであろう、紗倉まなさんと小島みなみさんのユニットである乙女フラペチーノ。今までは『ムーンライト伝説』や畑中葉子の『後ろから前から』など、セクシー女優さんにありがちな誰得謎カヴァーでトラックもカラオケレベルの作品だったのですが、本作で突然変異。トリプルファイヤーのお二人が作詞作曲で参加。初期~中期のタルトタタンを想起させるオルタナポップス。コンテンポラリーダンスを取り入れた癖のある振付。性を押し出し過ぎないけどセクシーな丁度いい塩梅のPV。全てが今までに無い丁寧なクォリティで非常に面白い。
 第2期恵比寿マスカッツも編曲に松井寛先生を投入しているし、楽曲水準が極めて最悪であったセクシー女優楽曲に対して楽曲派が波及し始めてくれれば嬉しい限り。    



よっしゃー書き終わった!!!!!15000字弱よく書いたぞ俺。読んでくれたあなたもありがとう。 以上、春菊楽曲大賞2016でした!また来年!


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